不整脈とは

不整脈のイメージ

正常以外の脈の異常を不整脈と呼びます。脈が速くなる、遅くなる、または不規則の状態なる、などがあります。

不整脈が生じる原因はさまざまですが、運動や興奮、発熱などの生理的反応によっても誘発されることがあります。

不整脈の3つのタイプ

不整脈は以下の3つのタイプに分けられます。

  • 頻脈性不整脈:明らかな誘因がなく心拍数が100/分を超えるもの
  • 徐脈性不整脈:明らかな誘因がなく心拍数が50/分以下になるもの
  • 期外収縮:正常な脈の間に、時々不規則な脈拍が現れるもの

頻脈性不整脈

心房細動

不規則な脈が繰り返し、動悸や息苦しさが生じる不整脈です。
心房がけいれんするため収縮が起きず、血液が淀んで血栓ができ、脳梗塞の原因になります。

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心房粗動

心臓の中に異常な電気の回路ができてしまうことで、規則的な速い脈が続きます。動悸や息苦しさを自覚します。

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発作性上室頻拍

脈が異常な伝導路を通ることでループとなり、突然、規則正しい頻脈(100~200/分)が出現し持続する不整脈です。動悸や息苦しさを自覚します。

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心室頻拍/心室細動

心室で異常な電気信号が生じ、心臓がけいれん状態になってしまう不整脈です。心臓突然死を起こす危険な不整脈です。

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徐脈性不整脈

洞不全症候群

心臓を拍動させる電気信号を生み出す洞結節や周辺部の機能が落ち、脈が出なくなってしまう病気です。めまい、ふらつき、失神などが起きます。

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房室ブロック

脈を伝える中継地点である房室結節の働きが悪くなり、電気信号が心室まで十分に伝わらない除隊です。めまい、ふらつき、失神などが起きます。

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期外収縮

期外収縮(上室/心室)

心臓の拍動が、予定された周期よりも外れて収縮が起こる状態です。脈が飛ぶなどの動悸を感じる方もいますが、無症状の方もいます。

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不整脈の症状

不整脈の症状はタイプによっても異なりますが、重症になると、心不全を起こしたり、失神などの意識障害を起こすこともあります。

  • 脈が急に速くなり動悸・胸の不快感がある(頻脈性不整脈)
  • 脈が遅くなり動いても心拍数が変わらない(徐脈性不整脈)
  • 息苦しい
  • めまい
  • 意識が遠のく、失神する

不整脈の誘因

不整脈は、心臓疾患、高血圧、甲状腺疾患、肺疾患などの病気があると現れやすくなります。また自律神経とも関係があり、不安や睡眠障害、ストレスによって自律神経が乱れると、不整脈も起こりやすくなります。ときに薬の影響で不整脈を起こす方もいらっしゃいます。

不整脈の検査方法

12誘導心電図検査

心臓の電気的な活動を記録する検査です。不整脈の診断には必須の検査です。
しかし受診した時には消失していることもあり、診断できないこともあります。その場合は、発作時の状態を調べるために、ホルター心電図検査を行います。

ホルター心電図検査

電極を胸につけ、磁気カード程度の携帯型心電計とつなぎ、24時間心電図を記録する検査です。長時間心電図を記録して発作が起きたときやその前後の状態を記録できる検査です。

イベントレコーダー

小型の心電図計を携帯して、動悸等の症状が起きたときに胸当てて心電図を記録する検査です。発作が稀な患者様に用います。

植込み型心電計(ループレコーダー)

小型のチップを皮下に植込み約2~3年と長期間の心電図を記録することで、失神の原因特定や、脳梗塞を発症の原因が心房細動によるものかを診断します。

心臓超音波検査(心エコー検査)

超音波を使って心臓の状態を探るものです。心臓超音波検査では、心臓の大きさ、心筋の動き、弁の機能、心内血栓などを評価します。器質的心疾患の有無は不整脈治療に非常に重症です。

不整脈の治療方法

薬物治療

異常な電気信号を防いだり、心拍数の増加を抑えるなどの作用を持つ抗不整脈薬を内服します。

カテーテルアブレーション

頻度が多く症状の強い頻脈性不整脈や期外収縮については、カテーテルアブレーションを検討します。薬剤を長期間内服するより安全性が高いとも考えられます。

ペースメーカー植込み

めまい、失神、心不全などの症状がる徐脈性不整脈では、ペースメーカー植込みを行います。2017年よりリードレスペースメーカーという小型のペースメーカーも登場しています。
また、薬物治療だけでは改善しない心不全では、心臓の動きをペースメーカーで統一させる「心臓再同期療法」を行うこともあります。

植え込み型除細動器(ICD)

心室頻拍や心室細動などの致死性不整脈の場合には、一旦治まったとしても再発する可能性があるため、ICDを検討する必要があります。これはAEDを体内に植え込むようなもので、致死性不整脈が生じた際に、自動で電気ショックを含む治療を迅速に行うことができます。