期外収縮とは
心臓の拍動が、予定された周期よりも早くに収縮が起こることを言います。「期外収縮」と言うのは、「時期」を「外れて」心臓が「収縮」するという意味です。
この興奮の起源が心房にあれば心房期外収縮、心室側にあれば心室期外収縮となります。
症状としては、脈が飛ぶなどの動悸を自覚する方もいますが、殆どの方は無症状です。自動血圧計で検出されたり、健診で指摘されることがあります。
期外収縮と言われたら
心臓は1日に約10万回拍動しています。多少の期外収縮は多くの人に見られる不整脈です。
期外収縮の精密検査や治療方針は、「心臓に病気があるかどうか」によって方針が変わります。
心臓自体に特に問題がなく症状もない場合は、特に治療は必要ないことが殆どです。飲酒や喫煙、ストレスを避け、睡眠を良く取りましょう。健康を意識し直すきっかけになります。
しかし、狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症などの心臓病がある場合は、注意が必要です。「心臓からのサイン」として期外収縮が出ていると考えられます。心臓病が隠れていないか精密検査をお勧めしたり、既知の心臓病について治療強化を検討します。
期外収縮の原因
直接的な原因は、心臓にできた不整脈の発生源です。心臓病、生活習慣病、喫煙、飲酒、不眠、カフェインなどは、この発生源を作ったり、活発化させたりします。
期外収縮の検査と診断
①問診
どんなとき、どんな症状が出るのか、初めての症状なのか複数回あるのか、瞬間的なものか長く持続するのか、他に持病はないかといったことを尋ね、状況を把握します。
②心電図検査
心電図は心臓の電気的な活動を波形として記録する検査です。動悸などの症状があるときは、その症状と期外収縮のタイミングが一致しているかが重要です。
③ホルター心電図
期外収縮の頻度は確認しておく必要があります。
心室期外収縮が1,000~2,000拍/日を超えると、突然死のリスクが2倍に上がるという報告があります。10,000拍/日以上になると、心機能そのものに影響する可能性があります。
また、期外収縮から心房細動や発作性上室頻拍、心室頻拍を生じることもあるので、ホルター心電図検査で確認します。
④心臓超音波検査(心エコー検査)
心臓超音波検査では、心臓の大きさ、心筋の動き、弁の機能などを評価します。冠動脈が詰まって狭く虚血がある場合には、左心室の壁運動に異常がみられることがあります。
⑤血液検査
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を調べることで、心不全のスクリーニングを行います。BNPは心臓を守るために心臓自体(心室)から分泌されるホルモンで、心臓への負担の程度を知ることができます。自覚症状が出る前から濃度が上がるので、心機能低下の早期発見に役立ちます。
また、甲状腺機能などの内分泌関係のマーカーも確認します。糖尿病や脂質異常症、腎臓疾患など生活習慣病の評価にも血液検査は有用です。
⑥胸部レントゲン検査
心臓の大きさや、肺の血液がうっ滞していないかなど確認します。
特に心室期外収縮では、狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症などの心臓病が隠れている場合があります。必要に応じて冠動脈CT検査、心臓MRI検査、心臓カテーテル検査などの精密検査を行います。
収縮の治療
背景となる心臓病もなく、頻度も少なく無症状の場合は、薬物治療などは行わず様子をみることになります。ただし定期的なフォローを受けることが望ましいです。
上室期外収縮は頻度が多く連発していると、心房細動など他の不整脈も隠れていることがあります。期外収縮の頻度が変わっていないか、連発していないか、他の不整脈が出てきていないかなど、定期的な心電図検査が必要です。
一方で心室期外収縮は、心筋梗塞や心筋症などの心筋の異常が原因で起きている可能性があり、場合によっては突然死に繋がる心室頻拍や心室細動が発生することがあります。背景に心臓病がある方は、もともとの心臓病治療をしっかり行い、期外収縮の頻度や症状を確認していきます。治療とともに期外収縮も減ってくる可能性もあります。
①薬物治療
動悸症状などがある場合はまず薬物による治療を考慮します。βブロッカーやカルシウムブロッカー、漢方薬などを考慮します。
②カテーテルアブレーション
頻度が多く症状の強い心室期外収縮については、カテーテルアブレーションを検討します。薬剤を長期間内服するより安全性が高いとも考えられます。