浮腫み

浮腫みとは血液中の水分が血管の外ににじみ出て皮下に溜まった状態のことです。身体の組織で滲み出た水分は、通常は静脈やリンパ管に戻ります。しかし、何らかの原因で静脈やリンパ管への回収が滞ると、水分が皮下に溜まって膨らんだ状態になり、浮腫みとなります。浮腫みやすい場所としては、眼瞼、顔面、腕や手指、下肢などがあります。

  • 正常な状態
  • むくんだ状態

健常な人でも軽度の浮腫みはよく起こります。朝起きた時に顔面が腫れぼったい感じがしたり、夕方になると足が浮腫むといった症状は、十分な休息や適度な運動、生活スタイルの見直しなどで自然と軽快することも多くあります。
一方で、病気や薬の副作用で浮腫みが出現することもあります。

  • 急に浮腫みが出た
  • 浮腫みが消えなくなった
  • 浮腫み方に左右差がある
  • 浮腫み以外に、息苦しさや咳、動悸、腹痛、吐き気などがある

といった場合には、一度内科へ受診することをお勧めします。

浮腫みのチェックポイント

①症状の有無をチェック

  • 浮腫みの部位はどこか、左右差があるか
  • 浮腫みはいつから出現したのか
  • 浮腫みは一日の中で変化するか
  • 浮腫み以外に、息苦しさや咳、動悸、腹痛、吐き気などがあるか
  • 体重は増加しているか
  • 動悸以外に息苦しさ、めまい、立ちくらみ、胸痛、などその他の症状はあるか

②病歴をチェック

  • 現在罹っている病気の有無
  • 飲んでいる薬やサプリメントの種類
  • 食事(とくに塩分)の嗜好
  • カフェイン、喫煙の有無、アルコール摂取の有無

浮腫みの原因

心不全

心不全とは、心臓が悪いために息切れや浮腫みが起きてだんだん悪くなり、生命を縮める病気です。さまざまな原因、病気で起こる症候群です。心臓のポンプ機能が低下して全身の血液循環が悪くなると、左心室の上流にある肺の血管にも血液がうっ滞し、動くと苦しいといった症状が現れるようになります。また、なんとか循環を保とうとして血液を溜め込むため血液量が増え、次第に浮腫みが生じてきます。

腎不全

腎不全とは、血液をろ過して老廃物を取り除く腎臓の機能が低下してしまった状態です。余分な水分や塩分が排泄されずに体内に溜まるため、浮腫みが生じます。

肝硬変・肝不全

肝硬変になると、門脈圧が高くなり肝臓での血液の循環が悪くなります。肝臓は身体に必要な栄養素の合成や分解、貯留や放出を司る臓器ですが、肝硬変になると十分な蛋白質が合成できなくなります。その結果、血液の成分バランスが変化し、血液成分が血管外にしみ出しやすくなって、浮腫みが生じます。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能が低下すると、全身の代謝が低下してムコ多糖類(ヒアルロン酸やコンドロイチン)などの物質が全身に溜まってきます。これらムコ多糖類は水を引き付ける性質があるため、皮下に水分が溜まって浮腫みやすくなります。

深部静脈血栓症

深部静脈血栓症は、身体の深い部分にある静脈に血栓が出来てしまう病気です。静脈が血栓で塞がれてしまうと血液が滞留します。結果、血液の一部の成分がしみ出し、皮下に溜まって浮腫みが生じてきます。深部静脈血栓症は、長時間の座位や寝たきり、手術後、妊娠などで起こりやすくなります。

薬剤性浮腫

薬の副作用でも浮腫みが生じることがあります。

  • NSAIDSや神経障害性疼痛治療薬(痛み止め)
  • カルシウム拮抗薬(降圧薬)
  • 抗生剤
  • 抗がん剤

筋力低下による浮腫

筋力低下による浮腫

静脈血の流れを促すのは、ふくらはぎの筋肉の作用です。 ふくらはぎの筋肉は、収縮と拡張を繰り返してポンプの役割を果たすことで、まさに「第2の心臓」として血液を押し出しています。筋肉が萎縮して筋力が低下すると血液の循環が滞り、組織に余分な水分が貯留して浮腫みが生じてしまいます。

その他

蕁麻疹や炎症、リンパ浮腫や栄養障害、下肢静脈瘤、などその他の原因で生じる浮腫みも多くあります。

浮腫みの検査

胸部レントゲン検査

心不全の存在や重症度診断に重要な検査です。心臓の拡大、肺うっ血、胸水の有無などを確認します。

心電図検査

心臓の電気的な活動を記録する検査です。心筋梗塞や不整脈の診断に有用で、心臓の病気が隠れていないかを確認します。

心臓超音波検査(心エコー検査)

超音波を使って心臓の状態を探る検査です。心臓の大きさ、心筋の動き、弁の機能、心内血栓などを評価します。下大静脈の拡張の程度を合わせて調べることで血管内の血液量を評価します。

血液検査

血液検査では、血中蛋白や、肝機能、腎機能、甲状腺機能、電解質濃度などを測定します。BNP(脳性ナトリウム利尿ぺプチド)は主に心室で合成されるホルモンです。心不全などで心室への負担が高まると分泌されます。心不全の存在診断や予後予測、治療効果の確認にも有用なマーカーです。また血栓があると上昇するD-Dimerなどの凝固関係の項目も測定します。