胸痛

胸痛のイメージ

胸痛の原因は様々ですが、以下の3パターンにわけて考えます。

  1. 胸の臓器に関連するもの
    心臓や血管の疾患、肺や胸膜の疾患を考えます。
  2. 筋・骨格や神経に関連するもの
    肋間神経痛、肋骨骨折、帯状疱疹などを考えます。
  3. その他の臓器に関連するもの
    消化器疾患や心因性による胸痛を考えます。

胸痛のチェックポイント

胸痛の性質や部位、持続時間、生じた状況、その他の症状などは、正確な診断をするうえで大切な情報となります。

1.症状の有無をチェック

  • どのような胸痛か(ピリピリ感、絞扼感、圧迫感、など)
  • どのようなときに起きたか(運動時、姿勢の変化時、など)
  • どれくらい続いたか
  • 呼吸や姿勢の変化、労作で胸痛は変化するか
  • 胸痛以外の症状はあるか(発熱、咳・痰、冷汗、吐気、失神など)

2.病歴をチェック

  • 他に通院している病気はあるか(生活習慣病など)
  • 健康診断で指摘されていることはあるか
  • 飲んでいる薬やサプリメントの種類
  • 喫煙しているか
  • 生活で大きな変化や精神的ストレスはあるか

心臓や血管に関連する胸痛

前胸部から左胸にかけての締め付けられるような圧迫感や絞扼感は、心臓や血管に由来する症状かもしれません。心臓や血管に関連する胸痛の多くは、労作に伴って胸痛が起き、しばらく休むと軽快します。休んでも良くなる気配がなかったり、1日のうち何度も起きる場合は、早急に受診する必要があります。

心筋梗塞や大動脈解離は命に関わる重大な疾患です。突然、急激な胸痛の場合は救急車を呼ぶことになりますが、比較的軽くて我慢できそうに思えても、実は病気のサインだったということもあります。

とくに動脈硬化のリスクがある場合には、早急に医療機関へ受診してください。

肺や胸膜に関連する胸痛

肺を包む胸膜に炎症が起きると胸痛を生じることがあります。深呼吸や咳、くしゃみなど呼吸に関連して症状の程度が増減します。肺炎・胸膜炎や気胸などの呼吸器に関連した病気が挙げられます。発熱や咳・痰が長引いたり、突然呼吸が苦しいなどの症状があれば医療機関へ受診してください。

また、癌の転移や胸膜浸潤によって胸膜炎が起きると胸痛を生じます。通常はレントゲンで診断しますが、場合によってはCTなども併用して診断します。

筋・骨格や神経に関連する胸痛

肋骨には神経が走っており、この神経が障害されると疼痛が生じます。打撲などの外傷以外に激しい咳などでも炎症が生じたり、場合によっては骨折することもあります。

また帯状疱疹では肋間神経に沿って水泡が現れますが、皮疹が治癒したあとも痛みが残る後遺症を起こすことがあり、予防や治療が大切になります。

消化器疾患に関連する胸痛

就寝中の夜間や早朝には胃酸が逆流しやすくなります。逆流性食道炎では胃酸が食道に逆流し炎症を引き起こします。この炎症によって胸骨付近に胸痛が生じることがあります。

また、胆石や胆嚢炎などの消化器疾患でも、心窩部~胸骨付近の胸痛を生じることがあります。

心因性による胸痛

ストレスや不安などの心理的な要因で胸痛や動悸が起こることがあります。パニック障害や心臓神経症は、器質的な異常がないかをしっかり検査することが大切です。

胸痛を感じたら・・・

胸痛の中には命に関わる重大な疾患が隠れていることがあります。まずは、そのような重篤な疾患の有無を診断することが必要です。当院では必要な機器を揃えており、速やかに検査を行うことができます。

高血圧や糖尿病などの動脈硬化のリスク因子を持つ方だけなく、ご家族で心臓血管疾患の方がいる場合は、ご自身も早めに受診することをお勧めします。