洞不全症候群とは

洞不全症候群のイメージ

心臓を拍動させる電気信号は、右心房の洞結節から発せられます。この洞結節や周辺部の機能が落ち、脈が出なくなってしまう病気が洞不全症候群です。通常心拍数は50~100/分程度ですが、これが遅くなったり、数秒間脈が止まってしまいます。

Rubenstein分類の波形イメージ

Rubenstein分類:病型によって3群に分類されます。

  • Ⅰ群(洞性徐脈):心拍数50/分以下
  • Ⅱ群(洞停止/洞ブロック):洞結節が突然休んだり、心筋への伝導がブロックされた状態
  • Ⅲ群(徐脈頻脈症候群):心房細動や発作性上室頻拍などの頻脈性不整脈と合併したもので、頻拍が停止するときに徐脈となり眩暈や失神を起こすことがある(Adams-Stokes症候群)

洞不全症候群の症状

脈が急に遅くなったり、止まると、眩暈やふらつきが生じますし、失神することもあります。また、脈が遅い状態が続くと、心臓からの血液が全身に十分行きわたらなくなるので、倦怠感、息切れ、あるいは足の浮腫みなどが生じます。

洞不全症候群そのものによる突然死の確率は高くないとされていますが、失神やふらつきは転倒・転落などの事故につながります。症状がある場合はペースメーカー植込みが検討されます。

洞不全症候群の検査

①問診

医師による問診は非常に重要です。どんなときに、どのような症状が出るのか、どのくらい続くのか、初めての症状なのか以前もあったのか、他に心臓病がないかなどを確認します。

②12誘導心電図検査

心臓の電気的な活動を波形として記録する検査です。しかし受診した時には症状が消失して診断できないこともあります。その場合は、ホルター心電図検査を行います。

③ホルター心電図検査

心不全のイメージ

電極を胸につけ、磁気カード程度の携帯型心電計とつなぎ、24時間心電図を記録する検査です。長時間心電図を記録して徐脈が起きたときやその前後の状態を記録できます。

④運動負荷心電図

運動負荷心電図のイメージ

洞性徐脈の状態が運動負荷によって十分な心拍数になるかを調べます。洞性徐脈で十分な心拍数増加が得られず、一方で患者様自身は「年によるもの」と思っている息切れの症状がある場合、ペースメーカーによって症状が改善する可能性があります。

⑤植込み型心電計(ループレコーダー)

植込み型ループ心電計は、約2~3年と長期間の心電図を記録することで、失神の原因特定や、脳梗塞を発症の原因が心房細動によるものかを診断するのに非常に有効です。ホルター心電図等で原因となる不整脈が捕捉できないときなどに検討されます。

⑥心臓超音波検査(心エコー検査)

エコー検査のイメージ

超音波を使い心臓の状態を探ります。心臓超音波検査では、心臓の大きさ、心筋の動き、弁の機能、心内血栓などを評価します。収縮力が落ちていないか等確認します。

⑦血液検査

血液生化学検査では、甲状腺機能などの内分泌関係を含めたスクリーニングを行います。糖尿病や脂質異常症、腎臓疾患などの評価にも血液検査は有用です。

また、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を調べることで、心不全のスクリーニングを行います。

⑧心臓電気生理学検査(カテーテル検査)

通常の心電図では、はっきりと診断できない場合は電気生理学検査を行うこともあります。洞結節の機能や刺激に対する反応を評価します。

洞不全症候群の治療

洞不全症候群が原因で眩暈や失神、心不全を起こす場合はペースメーカー植込みを行うことになります。

薬物治療の選択肢は少ないのですが、ときにシロスタゾールやβ刺激薬等の内服薬で症状が改善するケースもあります。

ペースメーカー植込み

ペースメーカー機器のイメージ

心臓の動きを感知して、脈が遅い場合には電気刺激が流れて心臓を刺激し、脈を作り出す装置です。

一般的には局所麻酔で手術を行い、手術時間は90分程度です。鎖骨下静脈から電極のついたリードを右心房と右心室内に挿入し、ペースメーカー本体につなぎ、本体を皮下に植え込みます。

手術に伴う合併症は、出血や血種、感染、気胸、血管損傷、心臓損傷、心タンポナーデなどが挙げられ、死亡を含めた重篤な合併症は1~2%以下です。

術後も出血や血種、感染には注意する必要があります。またせっかく留置してもリードが外れてしまい手術がやり直しになる場合もあります。

入院期間は施設によって異なりますが、概ね7~14日前後が多いようです。

本体の電池は概ね8~12年程度保ちます。定期的にペースメーカーチェックを行い、電池がなくなりそうになったら、本体のみ交換します。

2017年よりリードレスペースメーカも登場しています。足の付け根の静脈からカテーテルを心臓に通し、小型化の本体を直接心臓に植込むことが可能となりました。従来のペースメーカーのように胸に傷跡が残ることはありませんし、体内にリードもないので、術後リード関連の合併症の心配が要りません。また、手術時間も短く術後の安静時間も短い治療です。
電池寿命や機能に制限がありますが、徐脈イベントが少ない場合には良い適応になります。

  • レントゲン写真のイメージ
  • 小型ペースメーカーのイメージ