痛風とは

痛風のイメージ

痛風とは、関節に尿酸の結晶が溜まって炎症が起き、発赤や疼痛が起こる病気です。風が吹いても痛いということで、「痛風」と呼ばれています。足全体が腫れて痛く、歩けなくなってしまう方もいます。

暴飲暴食した次の日、足の親指の付け根が赤く腫れて痛むという症状が典型的です。
痛風が起きすい箇所は

  • 足の親指の付け根
  • 足関節
  • 足の甲
  • アキレス腱付近
  • 膝や肘関節
  • 指関節

に発作が起こることがあります。このうち「足の親指の付け根」が最も典型的な部位です。
痛風発作を何度か経験している人は、発作の前兆(違和感)を感じることがあります。

指や耳に痛風結節や尿路結石が出来ることもあります。

生活習慣病(肥満や高血圧など)を合併することも少なくありません。

痛風のイメージ

痛風の原因

尿酸血症のイメージ

血液中の尿酸が上昇(高尿酸血症)しすぎると、関節内に尿酸結晶ができてきます。この結晶を白血球が処理する際、痛風発作(急性関節炎)が起きるのです。

尿酸とプリン体

尿酸血症のイメージ

尿酸は、プリン体が肝臓で分解されてできるものです。
プリン体は、体の細胞の中に含まれる「核酸」という物質の主成分です。核酸は体を維持するうえで欠かせない重要な役割をしています。

プリン体の約80%は体内で作られ、残り20%は食べ物から摂取されます。核酸として利用されなかった余分なプリン体は肝臓で分解され、尿酸となり、尿や便として体外へ排泄されます。

1日に排泄できる限界量を超えて尿酸が作られてしまうと、尿酸は体内に留まったままとなり、結晶化し痛風の原因となります。

つまり「痛風になりやすい方=普段から尿酸値が高い方」といえます。

高尿酸血症の方で、

  • 尿酸値が7.0mg/dl以上で痛風発作を起こしたことのある方
  • 尿酸値が8.0mg/dl以上で他に脂質異常や尿路結石などの合併症のある方
  • 尿酸値が9.0mg/dl以上の方(無症状を含む)

は、食事療法や薬物治療が必要です。

痛風の薬物治療

1)痛風発作時の治療

痛みや炎症を抑える治療です。長引かせないためにも素早くしっかり治療することが大切です。

  • NSAIDS:ロキソプロフェンやジクロフェナクなど
  • コルヒチン

を用いて治療します。

  • 運動は控えて安静に
  • 局所を冷やす(凍傷には気を付けて)
  • 痛み止めはしっかり使う

ことが大切です。

既に尿酸値を下げる治療をされている方は、そのまま継続で構いませんが、初回の痛風発作の場合は、痛みや炎症が治まってから尿酸値を下げる治療を行います。

2)尿酸値を下げる治療

痛風発作では、関節内に結晶化した尿酸が溜まっています。尿酸値を6.0mg/dL以下でコントロールし、尿酸結晶の溶解消失を目指します。

治療薬には大きく分けて

  • 尿酸産生抑制薬:アロプリノール・フェブキソスタット・トピロキソスタット
  • 尿酸排泄促進薬:ベンズブロマロン・プロベネシドなど

があり、それぞれの患者様で使い分けます。

食事療法だけでは改善が難しいため、薬物療法を組み合わせる必要があります。また痛風発作を起こしていなくても、血清尿酸値が9.0mg/dLを超えるような場合には薬物治療をお勧めしています。

痛風の食事療法

プリン体を多く含む食品を控える

プリン体のイメージ
  • レバー類(鶏レバー・牛レバー・カツオなど):100g当たり300mg以上
  • 赤身の魚(太刀魚・カツオ・マイワシ・干物など):100g当たり200~300㎎
  • 白子(イサキ・ふぐ・たら):100g当たり300mg以上
  • 健康食品(DNA・RNA・ビール酵母・クロレラなど):100g当たり300mg以上
  • 肉類(豚・牛・羊)・ブロッコリースプラウト:100g当たり100㎎~200㎎

プリン体の多いこれらの食品は気を付けましょう。

お酒は控える

飲酒のイメージ

ビールでプリン体を思い出す方もいると思います。

しかし、アルコール自体が尿酸値を上昇させるため、禁酒するのがベストです。アルコールの摂取量が多いと、痛風の発症頻度が約2倍になるという報告もあります。

休肝日を設けたり、1回に飲むお酒の量を減らすようにしましょう。

水分をしっかりとる

プリン体は尿酸として尿から排泄されます。水分をしっかりとると尿から排泄しやすくなります。

ただし、ジュースなどの清涼飲料水はやめましょう。かえって尿酸値はあがりやすくなります。血糖値もあがり動脈硬化のリスクにもなります。

適度なコーヒーは痛風の予防になります

コーヒーのイメージ

コーヒーは痛風発作を約50%減少させると言われています。

コーヒーが尿酸値を直接下げるわけではないのですが、コーヒーに含まれるポリフェノールなどの抗酸化作用物質が、急性炎症である痛風発作を抑えるのではないかと考えられています。

乳製品も痛風発作の予防によいとされますので、低脂肪牛乳を少し入れて飲むと良いかもしれません(砂糖は入れない)

乳製品の摂取も痛風の予防になる

牛乳などの乳製品は、カゼインの尿酸排泄促効果があり、血中の尿酸値が下がりやすくなると言われています。糖質には注意が必要ですが生活に取り入れてみましょう。

ただし豆乳では尿酸排泄効果は認められていないので注意しましょう。