健康診断は、病気の早期発見だけでなく、将来の病気を予防することにも大きく役立ちます。健康診断で異常を指摘された場合、それは「何らかの病気の可能性がある」ということです。ぜひ再検査や精密検査、治療を受けるようにしてください。
検査結果をたいしたことはないだろうと放置していると、数年後に日常生活を大きく制限される可能性があります。
ただ、指摘された項目を見ても、どのような病気の可能性があるのか分からないということも少なくないかと思います。ここでは、指摘される異常について、どのように対応すべきなのかをご紹介します。
検査結果について
異常なし
正常範囲です。特に心配する必要はありません。
要経過観察・要再検査
検査結果が、正常範囲外でしたので再検査を受け経過観察する必要があります。3~6か月の間に再検査を受けてください。
生活習慣の改善などで正常範囲に戻すことが将来の健康につながります。当院では、お一人おひとりに合わせてアドバイスを行っておりますので、お気軽にご相談ください。
要精密検査
病気であることが確定したわけではありませんが、さらに詳しく調べる必要がありますので、必ず精密検査を受けてください。
要治療
すぐに治療が必要な状態です。速やかに受診し的確な診断を受け、治療を始めましょう。
健康診断で指摘されやすい項目
血圧が高い
高血圧は動脈硬化を進行させ、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを高める生活習慣病です。
しかし、緊張などによって健康診断の際に数値が高くなってしまうケースも少なくありません。ご自宅や普段の職場などリラックスできる環境で何度か測定し、その結果を再検査等にご持参いただくと、より正確な診断に役立ちます。
血糖値が高い
血糖値が高い状態が続く病気が糖尿病です。高血糖が続くと血管の負担となり動脈硬化が進行し、脳卒中・心筋梗塞などのリスクが上昇します。また毛細血管にも悪影響を与え、失明や腎不全などの合併症の危険もあがります。
健康診断で血糖値が高めだった場合、早めに受診して上手に血糖値をコントロールすることをおすすめします。
糖尿病はこちらコレステロール値が高い
(悪玉)LDLコレステロールや中性脂肪の値が高すぎる、または(善玉)HDLコレステロールの値が低すぎる場合には、脂質異常症と診断されます。
放置すると動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。脂質異常症は症状が現れ難いため放って置かれがちですが、異常を指摘された場合には必ず受診をお願いします。
脂質異常症はこちら肝臓の数値に異常がある
肝機能障害の原因はアルコール、肥満、ウイルス感染、服用している薬の影響など様々です。とくに以前の検査結果と比べて数値が上昇したなどの場合には、早急な治療が必要かどうかを調べるために精密検査が必要になります。是非受診してください。
肝機能障害はこちら尿酸が高い
痛風に関連して尿酸値を気にされる方が増えています。尿酸値が高いと腎臓にも大きな負担になるため、尿酸値のコントロールは重要です。
尿酸値を上げないためにはプリン体の多い食品を避けるだけでなく、カロリー制限や適度な運動、水分補給も大切です。また、ビールだけ控えれば大丈夫と勘違いされている方が多いのですが、アルコール類はすべてプリン体を多く含むため飲酒はできるだけ控える必要があります。
痛風・高尿酸血症はこちら貧血がみられる
血液中のヘモグロビンが少なくなっている状態です。女性の方で「体質だから」と考える方もいらっしゃいますが、体内で出血が起きて貧血になっているケースがあります。
40歳以上の場合、胃潰瘍や胃癌、大腸癌、婦人科系の病気などによる出血が原因である可能性も考えなくてはなりません。早めに受診して原因をつきとめることが大切です。
貧血はこちら心電図に異常がみられる
心電図は、心臓の電気的な活動を調べて、不整脈や心筋梗塞、心肥大などの異常がないかを調べる検査です。心電図だけでは判断できない場合は、心臓超音波検査やホルター心電図検査などの精密検査を行います。いずれも当院で検査可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
ただし、息切れや胸の痛みがあり、心電図に異常が現れた場合にはリスクがかなり高い可能性がありますので、早急に受診が必要です。
循環器内科はこちらメタボリックシンドロームとは何でしょうか?
内臓肥満に高血圧、高血糖、脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態をメタボリックシンドロームとよびます。
必須項目 | ウエスト周囲径(内臓脂肪蓄積)男性≧85cm、女性≧90cm |
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3項目のうち2項目以上 | 中性脂肪≧150mg/dl、またはHDL<40mg/dl |
血圧≧130/85mmHg | |
空腹時血糖≧110mg/dl |
メタボリックシンドロームでは複数の生活習慣病が合併していたり、すでに動脈硬化性疾患が起きていて治療が必要になるケースが多々あります。指摘された方はお早めにご相談ください。