漢方薬について

漢方はもともとは中国で発達した中国医学を元に、日本で独自に発達してきた伝統医学です。中国のものと同一と思いがちですが、今では別のものとなっています。民間療法をイメージされたり、あまり効果がないと考える方もいるかもしれませんが、多くの漢方薬で有用性のエビデンスが集積され、各学会から示されているガイドラインにも記載があります。

漢方薬では、病気を未然に防いだり、病気になりにくい体質を目指すという考え方があります。新薬がどんどん開発される現代でも注目されている治療なのです。

漢方薬のイメージ

西洋医学との関係

さまざまな不調がありながらも、西洋医学的には診断がつかず治療もないという場合でも、漢方医学では治療の方法があることがあります。また同じ病名でも、漢方は一人一人の体質にあった処方ができるため、西洋医学と組み合わせることで治療効果を上げる可能性があります。

漢方がお勧めな方

  • 症状はあるが検査では異常はなかった
  • 西洋医学の治療では十分な効果が出なかった
  • 薬の副作用がつらい。
  • 検査では何もないが、体の怠さが続く
  • 冷え・のぼせ、便秘・下痢が続く
  • 不安や不安、イライラが続く
  • 虚弱体質で疲れやすく風邪をひきやすい

循環器内科と漢方治療

当院では特に循環器疾患に対する漢方治療に力を入れています。

虚血性心疾患や不整脈、心不全といった心臓病は、エビデンスに基づいた治療が行われます。しかしそうした標準治療によって腎機能が悪化したり、気力や体力が下がってサルコペニアやフレイルに至ってしまうケースがあります。

サルコペニア:加齢に伴う筋力低下によって起こる身体機能の低下
フレイル:筋力のみならず、精神・身体全般の機能低下

サルコペニアやフレイルは高齢になるほど増加し、要介護状態や健康寿命の低下を招きます。漢方治療を取り入れ治療を適切化することで、身体機能の低下を抑え生活の質を維持できる可能性が高まります。是非ご相談ください。

また、何度検査しても異常が見つからない動悸や、繰り返し起こる冠攣縮性狭心症、薬の副作用で起こる浮腫や火照りなど、画一的な治療では中々対応が難しいケースもあります。

漢方薬はそういった、ガイドラインの治療だけでは難しい症状にも対応し、循環器診療の様々な面で標準治療を補うことができる治療法です。

当院の漢方治療

  • 当院で処方する漢方薬は全てエキス剤です。院内での調合は行っておりません。
  • 西洋医学的な治療は基本的には継続します。
  • 体質や病態を考慮し通常は1~2種類を処方します。
  • 1日2~3回、食前・食間に飲んでください。できればお湯に溶かして飲むと良いです。
  • 副作用が無いわけではありません。空咳の悪化や浮腫み、動悸に注意しましょう。何か異常があれば中止します。
  • 2か月に1回は採血で電解質(主にカリウム値)や肝機能を確認します。